毎日チェックしている日経ビジネスの記事に、パイロットは操縦席内にたくさんある計器の正常値は覚えないようにしているという、たいへん興味深い部分がありました。https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/120700196/?P=6&mds
覚えると人間の記憶にはミスが生じるので、必ず書類と照らし合わせてチェックするというのです。あのパイロットが持っている重たそうなバッグの中にはそのための書類が入っているそうです。なるほどな考えです。一方で、自分たち消化器外科医は、必ず手術前に胃やら大腸の血管や神経などの解剖を頭に叩き込んでから手術室に入ります。手術室で術書なんか読んでいたら、ほぼ指導医にゴツンとやられます。解剖は立体パズルみたいなのもので、計器みたいに数値とはちょっと違いますので、血管の走行を左右で勘違いすることはないでしょうが、もしかしたらこれからロボット手術が主流になってくると、モニターでの判断になりますから、左右上下の勘違いなども起こるかもしれんせんね。術中に解剖の本を見ながらというのはあり得ないでしょうが。ちなみに整形外科は違うようで、自分が麻酔を受け持った手の腱の手術中に、解剖書を見ながら手術してたのはちょっとしたカルチャーショックでした。